一般社団法人 文芸翻訳検定協会の立ち上げに際して
柏艪舎代表の山本光伸と申します。日頃から何かと弊社のことをお気にかけていただき、心から感謝しております。約半世紀を過ごした神奈川県の逗子から五十三歳で札幌に移り住み、インターカレッジ札幌を立ち上げ、十年ほど前に柏艪舎を興して今日に至っております。
私は元々は一介の文芸翻訳家でありまして、『ゴッドファーザー』、『トップガン』、そして『暗殺者』を初めとするジェイソン・ボーン・シリーズなどを翻訳するかたわら、鎌倉で二十年にわたり、子供たちに剣道を教えるという、自分にとってはまったくストレスのない人生を送っておりました。ところが還暦を過ぎてから始めた出版社で、人並みの苦労を味わうことになりました。人生を少々なめていた私にはいい薬です。愚痴になりますから詳しくは申し上げませんが、出版という未知の分野に軽い気持ちで飛び込んだ自分の無知さ加減を何度悔やんだかわかりません。
それでも、ここまで何とかやってこられたのは、皆様方の暖かい声援があったればこそでした。その間に、少しでも出版業の助けになり、同時に皆様への恩返しになればという思いからいろいろなプロジェクト(版権シェア・プロジェクト、太宰治プロジェクト、文芸出版助成基金プロジェクト等)を考え、実行に移してまいりました。これらのプロジェクトは今なお存続しているものの、いずれも期待したほどの成果が挙がっておらず、その度に心ならずも皆様にご迷惑をおかけしてしまいました。そのことは一時も忘れたことはありませんし、今は必ずや皆様のご厚情にお報いしなければという一心があるのみです。
では、具体的にどうすればご期待に応えられるのか。それがここ数年、私を悩ませていた難問でありました。私も父の享年を越え、今年で七十歳、人生のすべてを賭けるつもりで今回立ち上げたのが、一般社団法人 文芸翻訳検定協会です。
実を申しますと、柏艪舎の社員は全員翻訳家であり、この文芸翻訳がもっとも得意な分野なのです。これまでこの検定が存在しなかったのは、文芸翻訳家としての能力をいかにチェックするか、その方法論が確立されていなかったからです。確かにたいへんに難しい問題であり、またチャレンジのし甲斐のある仕事で、この数ヶ月間、社員たちは土日もなく、何とか当検定を成功させようと頑張ってきました。
かように、当検定を立ち上げ、以後数ヶ月にわたり内容の充実を図ってきたのは柏艪舎の社員たちでありますが、組織としてはまったく別物であることをご理解賜りたいと思います。柏艪舎はその後援組織として全力を挙げて協力する所存です。
当協会ではすでに一千以上の問題を作成、六月末には5,4級用の問題集を発売、九月十七日の第一回検定試験の募集が始まっています。後援には読売新聞本社、北海道新聞社、北海道教育委員会などが決まり、文化庁も三年後の後援を約束してくれました。また審査委員には、文芸翻訳家はもちろんのこと、作家の椎名誠さん、蜂谷涼さん、まさきとしかさんらが手を挙げてくれました。これからも協力者(社)はどんどん増えていくと思われます。
また理事の三人は、元阪急電鉄常務で、日本旅行業界のカリスマといわれている竹下国昭さん、元読売広告社代表取締役で伝説的な広告マンである岩切靖治さん、さらに逗子で病院を経営している私の弟が決まっています。そして我々全員が、たとえかなりの時間がかかろうとも、当検定を英検や漢字検定を超える、真に権威あるものに育てていこうと決意しております。
こうして船出した文芸翻訳検定ですが、私、山本光伸はいわゆる"検定屋"になるつもりはなく、あくまでも出版業を下支えする活動として捉えております。柏艪舎は検定協会ときちんとした契約を結び、検定用の問題集、過去問題集、参考書などの発売で協力します。漢字検定協会がやったような"闇取引"は絶対にご法度です。
さて、皆様ご承知のように、当検定が成功するか否かは、ひとえに、その存在を全国的に周知かつ認知させることができるかどうかにかかっています。そこで皆様にお願いがございます。これは、検定協会の立ち上げにご協力いただくことにより、柏艪舎の活動もスムーズに運ぶようになるということを意味しています。だからこそ、柏艪舎の"わっしょい倶楽部"の皆様をはじめ、柏艪舎のあり方に関心をお持ちいただいている皆様にお願いするわけです。
ご協力いただく方法として、以下の二通りがあります。
- 検定協会への協賛金(寄付)。なお、当協会のホームページ上にお名前を掲載させていただきます。ご迷惑な方はその旨お申し出下さい。
・一口 1,000円〜上限なし(無配当)
- 出資をご希望の方は、当検定協会の借入金として取り扱わせていただき、当協会が定めた条件の利息、及び元金を所定期日に返済いたします。
・一口 10,000円〜上限なし
・年利率3パーセント、期間三年、利息込みで一括返済
詳細につきましてはこちらのページをご覧ください。
以上であります。皆様のご協力により、全国的な広告活動を行なうことができれば、この検定は必ず成功するだろうと確信しております。厳しい世相ではありますが、お一人お一人のお力添えをいただければ誠に幸せです。我々は全力を尽くすことをお約束いたします。
山本光伸
|